一昔前は、「家事手伝い」と「寿退社」という言葉は、女性にとってある種羨望の響きを持っていました。
しかし、貧困女子が社会問題としてクローズアップされるようになると、どちらの言葉も耳にすることが少なくなりました。
ある意味2つの言葉は古き良き時代?を象徴していたのかも………
2つの言葉が死語となりつつある背景と問題点を探り、同時に貧困女子との関係もレポートしていきます。
目次
貧困女子増加と「家事手伝い」消滅の関係
少し前まで、学校を出ても仕事につかず、実家で生活している独身女性のこと、一般的に家事手伝いと呼んでいました。
この言葉は決してネガティブな意味で使われていたものではなく、むしろ近い将来結婚するため、家事全般を母親から教えられる花嫁修行的な意味と、箱入り娘、つまり裕福な家のお嬢様というような意味合いがありました。
かつてはよく使われていた言葉ですが、現在では仕事をするため社会に出たことがない、つまり世間知らずという風に取られてしまうこともあり、どちらかというとマイナスのイメージの方が強くなってきました。
「家事手伝い」消滅は親世代の困窮も一因
仕事をするということは、単純に収入を得るという目的の他にも、人間関係や社会人としてのマナーなどを学ぶ機会でもあります。
学校での勉強ももちろん大切ですが、一度社会に出て世の中の厳しさを知り、そうした社会性を身につけることは、これから生きていく上でもとても重要であると言えるでしょう。
例えば、実家住まいをして家事手伝いをしている独身女性が、パートや派遣社員として働き、毎月10万円ぐらいの収入を得ていたとすると、これはいわゆる貧困独身女性の収入とほぼ同額です。
また親と同居していれば家賃や光熱費などは必要ないので、月給10万円でも毎月貯金することができ、年間100万円溜めることも決して不可能ではありません。
しかし現実はもっと厳しく、長く続いた不況の影響などにより親世代も楽な暮らしをしているわけではなく、さらに歳を取っていくので実際に娘を養っていくのは大変難しい状況となっています。
実際に親と同居していてもなかなか貯金することができない女性は多く、やがて彼女達は貧困女子となっていきます。
実は家事手伝いという言葉が消滅しつつあるのは、このような社会の状況と、貧困女子が増加したことが深く関わっているようです。
婚活において「家事手伝い」は不利
では男性側から見ると、家事手伝いの女性はどんな風に映っているのでしょうか。
結論から言うと、例えば婚活パーティーの場などでは、家事手伝いという女性は、働いている女性よりもやや不利な状況にあり、男性には自分は家事手伝いをしていると言いにくいのが現状のようです。
現在はイクメンやワンオペなどいう言葉があるように、家事や子育てを夫婦で助け合うという考え方の家庭が増えてきています。
また、家計に関しても、共働きで一緒に生活を支えている夫婦も多いようです。
これは、男が女性の収入を当てにしているというより、万が一何らかの理由で自分が働けなくなった場合に、生活に困らないようにするためという気持ちが強いようです。
男性の収入は、転職でもしない限り急にアップさせることは難しいですが、例えば今まで専業主婦だった妻がパートに出て働けば、月数万円の収入を得ることができ、生活費をアップさせることができます。
また仕事をしていない女性は、どうしても自立できず甘えているというイメージがやはり強いようです。
貧困女子増加と「寿退社」消滅の関係
「寿退社」という言葉は、今の時代では死語になりつつあります。
一昔前の高度経済成長期の時代では、結婚・出産すれば退職するのが一般的でした。
結婚を機に会社を辞める「寿退社」をする人がいなくなった背景は、経済的な問題があると思われます。
また、結婚がきっかけで生活スタイルが大きく変化するわけでもありませんので、「寿退社」する理由が見つからないのです。
「寿退社」消滅はリスク回避
これから結婚する女性の中には専業主婦に憧れている女性もいるかもしれませんが、夫の収入だけには頼れないという考え方が一般的になっている現在、専業主婦はリスクが高い生き方であるとも言えます。
今はバツイチが珍しくなくなっていますし、もし離婚した場合に専業主婦だった場合、やはり生活に困るのは目に見えています。
また専業主婦になるのが一般的だった母親世代から「もし離婚することになっても生活していけるように、仕事はしていた方が良い」とアドバイスされることもあるようです。
「もし夫が急に倒れて働けなくなった時、どうやって生活していけばいいの」と不安になった時、やはり夫1人が働いて家計を支えているというのは、リスクが高い状況であると言えます。
「寿退社」消滅と家庭の経済
そんな時代の流れの中、昔の白馬に乗った王子様を待つのではなく、自分の力で困難を乗り越えていくという女性が多くなっています。
そういえば最近ドラマや映画などでも、このような題材を取り扱ったものが多く、たくさんの女性の支持を集めていますよね。
こうした「脱・王子様」の風潮も、女性の社会進出や就労への後押しするきっかけとなっています。
実際、あるアンケートでは「結婚した後どんな生活をしたいか」という質問に対して「専業主婦になりたい」と答えた女性は、なんと全体でたったの6.3%、1割にも満たないという結果が出ており、結婚して仕事をやめるという「寿退社」という言葉も、今では死語になりつつあります。
その背景には、一度辞めると再就職が難しいという事情の他にも、男性の収入だけでは生活していくのが難しいという背景もあるでしょう。
専業主婦になれてそれを続けられるというのは、少しオーバーに言えば宝くじが当たるくらいラッキーなことであるとも言えるかもしれませんね。
「寿退社」という言葉の代わりに貧困女子という言葉が使われるようになったのは、どうしたら独身女性でも自立した生活ができるのかという問題が、今社会の中で注目されている証であるとも言えます。
まとめ
「家事手伝い」と「寿退社」という2つの言葉が死語になりつつあります。
どちらも該当するのは女性ですが、その背景に、貧困に喘いでいるいわゆる「貧困女子」の問題があるのです。
但し貧困は、今や女子だけではなく、子供の貧困、成人した男性の貧困も問題になっており、日本は先進国でありながら貧困への道まっしぐらです。
「家事手伝い」と「寿退社」という2つの言葉がなくなりつつあるのは、貧困女子だけでなく、日本全体が貧困という問題に直面しているからなのです。
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